

就職と同時に上京してきました。
今は丸の内の不動産会社で営業マンをしている"マミ"です。
「山梨県は首都圏に含まれるの?」「山梨は地方?」と疑問に思ったことはありませんか?
東京からそれほど遠くない山梨県ですが、首都圏なのか地方なのか、その位置づけについてはあいまいなイメージを持つ人も多いでしょう。
山梨県は行政区分や法律によっては首都圏に含まれることもありますが、一般的な感覚では「首都圏」とは呼ばれないことが多いのが現状です。
東京へのアクセスのしやすさや行政区分、生活スタイルなど、様々な観点から見ると、山梨県は首都圏と地方の境界線上にあると言えるかもしれません。
この記事では、山梨県が首都圏とされる理由と、地方とされる理由の両方を解説し、上京を考える方にとって役立つ情報をお伝えします。
もくじ
首都圏の定義を確認
一般的な「首都圏」は、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県を指すことが多いです。特に不動産情報やニュース報道などでは、この1都3県を「首都圏」と表現するのが一般的です。
電車での通勤・通学が現実的な範囲、という点でも、この1都3県が「首都圏」というイメージに合致します。
一方で、法律上(首都圏整備法)では”周辺地域”として山梨や群馬、栃木、茨城などが含まれる場合もあります。
「首都圏整備法」という法律では、首都圏を「東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県」と定義しています。これは行政的な観点から、首都東京の機能をサポートする広域圏を設定したものであり、法律上は山梨県も首都圏に含まれていることになります。
しかし、日常会話やニュースでは「山梨=首都圏」とはあまり言わないのが現実です。「首都圏の天気」「首都圏の鉄道情報」などと言うとき、山梨県は含まれません。
また、「上京する」という言葉を使うとき、山梨県から東京に移住することも「上京」と表現されるように、山梨県は東京とは別の地域という認識が強いです。
このように、「首都圏」という言葉の定義はいくつか存在し、文脈によって使い分けられています。
一般的な感覚では1都3県を指すことが多いですが、法律上は山梨県も含まれるというのが正確な答えです。
山梨県が”首都圏扱い”される理由
一部では「山梨県も首都圏に入ってるよね」と言われることがあります。 それには、いくつかの理由や背景があります。
- 東京との距離が近くアクセスしやすい
- 国の制度上”首都圏の周辺地域”に含まれている
- 首都圏のライフスタイルが入ってきている
東京との距離が近くアクセスしやすい
山梨県、特に東部地域は東京からの距離が近く、交通アクセスも比較的良好です。この地理的な近さが「首都圏」と呼ばれる一因となっています。
新宿から甲府まで特急で約90分。大月・上野原ならもっと早いのが山梨県の特徴です。特に山梨県東部の大月市や上野原市などは、新宿から特急を使えば約1時間でアクセスできます。
これは埼玉県や千葉県の一部地域からのアクセス時間と大差ありません。
また、中央線・中央道で東京とのアクセスが良好で、通勤・通学圏として機能する場所もあるのが実情です。実際に山梨県東部から東京へ通勤・通学している人も少なくありません。
特に中央自動車道が整備されてからは、車でのアクセスも便利になりました。東京都心部まで約2時間で行ける距離感は、完全な「地方」とは言い難いものがあります。
このように、「物理的には首都圏圏内」と言える部分が多いのが山梨県の特徴です。特に県の東部地域は、東京都の西多摩地域に隣接しており、地理的な連続性があります。
富士山の麓にある富士吉田市なども、神奈川県の県境に近く、首都圏とのつながりを感じやすい地域と言えるでしょう。
国の制度上”首都圏の周辺地域”に含まれている
行政的な区分においても、山梨県は「首都圏」の一部として扱われることがあります。これは法律上の定義に基づいています。
首都圏整備法では、山梨県も”首都圏整備法区域”の一部として指定されています。この法律は1956年に制定され、東京を中心とした計画的な都市整備を目的としています。この法律では山梨県全域が首都圏に含まれており、法的には紛れもなく「首都圏」の一部です。
これは都市計画や防災、開発の観点で首都を取り巻く地域として扱われていることを意味します。首都東京とその周辺地域をひとつの経済圏・生活圏として捉え、計画的に整備していくという考え方です。特に人口増加や経済活動の集中による問題を緩和するため、周辺地域も含めた広域的な視点が必要とされました。
つまり、行政的な”首都圏”としては含まれるのが山梨県の位置づけです。国の施策や統計データにおいて「首都圏」として扱われることがあるのはこのためです。ただし、この行政的な区分と、一般的なイメージとしての「首都圏」にはズレがあることも事実です。
首都圏のライフスタイルが入ってきている
近年、山梨県内でも生活スタイルや文化面で「首都圏化」が進んでいる面もあります。これも山梨県が首都圏と関連付けられる理由の一つです。
ショッピングモールやカフェ、交通インフラの整備が進み”首都圏的な暮らし”が可能になっています。
甲府市をはじめとした主要都市では、大型ショッピングモールや全国チェーンの店舗が増え、買い物や食事などの面では首都圏と大きな差がなくなってきています。
また、インターネットの普及により、物理的な距離感も縮まりつつあります。
東京に通う人、オンラインで東京の仕事をする人も増加中です。特にコロナ禍以降、リモートワークの普及により、東京の企業に勤めながら山梨県に住む「リモートワーカー」が増えています。
また、東京の大学に通う学生や、週に数日だけ東京に出勤する「部分的通勤者」も少なくありません。こうした人々にとって、山梨県は首都圏の延長線上という感覚かもしれません。
こうした状況から、「気持ちは首都圏」という山梨県民も増えています。特に東京との行き来が多い若い世代や、東京から移住してきた人々の中には、山梨県を「首都圏の一部」と感じている人もいるようです。
ライフスタイルや価値観の面でも、首都圏との距離が近づいている面があります。
“首都圏じゃない”とされる理由もある
一方で、「いやいや山梨は地方でしょ」という意見も根強いです。
- 交通や文化の”壁”がある
- メディアやニュースでは”中部地方”扱いが多い
- 住んでる人の意識が「地方寄り」
交通や文化の”壁”がある
山梨県と首都圏の間には、物理的にも心理的にも「壁」が存在するという意見もあります。これが山梨県を「首都圏ではない」とする根拠の一つです。
中央線以外の公共交通が少ない=クルマ社会という特徴は、山梨県を地方と感じさせる大きな要因です。山梨県内の移動は車に頼ることが多く、公共交通機関は中央線や身延線などの一部の路線を除いて十分とは言えません。
これは「電車中心」の首都圏の生活スタイルとは大きく異なります。また、終電の時間も早く、夜遅くまで活動的な首都圏とは生活リズムが異なる面もあります。
また、「東京のノリが通じない」と感じる人もいるようです。言葉づかいや価値観、生活テンポなどに違いがあり、東京から来た人が「カルチャーショック」を感じることもあるようです。山梨県は独自の歴史と文化を持つ地域であり、首都圏とは異なる価値観や生活様式が根付いています。
さらに、山や川に囲まれていて、地理的な”距離感”を感じやすいのも特徴です。特に甲府盆地は四方を山に囲まれた地形で、視覚的にも「別の世界」という印象を与えます。
実際、東京から山梨県に向かう中央道や中央線は、山々を越えていくルートなので、心理的な距離感も生まれやすいでしょう。
メディアやニュースでは”中部地方”扱いが多い
メディアや公的な区分においては、山梨県は「中部地方」や「甲信越」として扱われることが多く、これも「首都圏ではない」という認識の根拠になっています。
テレビの天気予報では「中部地方」に分類されるのが一般的です。全国ニュースの天気予報では、山梨県は長野県や新潟県などと同じ「中部地方」のくくりで紹介されることがほとんどです。
「首都圏の天気」というときに山梨県が含まれることはあまりありません。
また、統計データや行政区分でも「甲信越」「中部」エリアとして扱われることが多いです。経済指標や観光統計などでは、山梨県は「甲信越」(山梨・長野・新潟)や「中部地方」のグループに入れられることが一般的です。
これは山梨県の地理的・文化的な特性を考慮した区分と言えるでしょう。
結果として、“首都圏”と呼ばれることは珍しいのが現状です。ニュースで「首都圏で大雪」と言えば1都3県を指し、「山梨で大雪」と別に報道されることが多いです。
こうしたメディアの扱いも、山梨県が一般的に「首都圏」とは認識されていない要因の一つでしょう。
住んでる人の意識が「地方寄り」
興味深いことに、山梨県民自身の意識も、「首都圏」というよりは「地方」寄りであることが多いようです。
山梨県民自身が「自分たちは地方出身」と感じていることも多いのが実情です。特に若い世代は、進学や就職で「上京する」「東京に出る」という表現を使うことが多く、山梨と東京の間には心理的な境界線が引かれているようです。
山梨県出身者が自己紹介するとき、「田舎出身です」と言うことも少なくありません。
また、“都会と比べられる”ことに抵抗がある人もいます。「田舎だけど、東京には近い」という独自のアイデンティティを持つ山梨県民にとって、単純に「首都圏」に分類されることへの違和感を持つ人もいるようです。
山梨県の良さは「都会ではない」ところにあると考える人も多いでしょう。
都会に住みたいなら”本当の首都圏”の方が安心かも
「東京に近い山梨も良いかも」と思っている方もいるかもしれませんが、本格的に都会暮らしを楽しみたいなら、やはり「本当の首都圏」に住むメリットは大きいでしょう。
都会生活を満喫したいなら、やはり東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県がおすすめです。特に東京での仕事や学校、都会の刺激を求めるなら、山梨県からの通勤・通学よりも、首都圏内に住む方が圧倒的に便利です。
以下でその理由を詳しく見ていきましょう。
- 通勤・通学のしやすさが段違い
- ライフスタイルの選択肢が圧倒的に多い
- 仕事やアルバイトの選択肢も豊富
- 上京の”ギャップ”が少なくてすむ
通勤・通学のしやすさが段違い
都会での仕事や学校に通う場合、移動時間とストレスは大きな問題です。この点で、1都3県に住むメリットは非常に大きいでしょう。
東京の主要駅まで30分〜60分圏内の場所が多く、時間も体力も節約できるのが本当の首都圏のメリットです。例えば埼玉県の大宮や浦和、神奈川県の横浜や川崎、千葉県の船橋や柏などからは、東京の主要駅まで1時間以内でアクセスできます。
一方、山梨県からだと最低でも90分、場所によっては2時間以上かかることもあります。
また、山梨の場合は特急や車に頼ることも多く、意外と疲れやすいのも事実です。中央線の特急は座れることが多いですが、料金もかかりますし、時間帯によっては満席で立ち続けることもあります。
車での通勤も、渋滞や運転の疲労を考えると、長期的には負担が大きいでしょう。
このように、“通いやすさ”は、毎日の暮らしに直結するポイントです。1時間の通勤と2時間の通勤では、単純計算で往復2時間の差があります。
この2時間は睡眠や趣味、友人との時間など、生活の質に直結します。長期的に東京での活動を考えるなら、通勤・通学のしやすさは最優先で考えるべきポイントでしょう。
ライフスタイルの選択肢が圧倒的に多い
都会暮らしの魅力は、何と言っても選択肢の多さです。この点では、1都3県に住む方が圧倒的に有利です。
首都圏にはカフェ・ジム・サロン・イベントなど”行きたいところ”がたくさんあります。特にトレンドの最先端を行くカフェやレストラン、最新設備を備えたフィットネスジム、有名アーティストのライブやイベントなど、多様な選択肢があります。
山梨県内にもこうした施設はありますが、数や種類の豊富さでは首都圏に及びません。
また、ちょっと出かけるだけで、刺激や出会いがあるのが都会暮らしの魅力です。東京や横浜などの都会では、街を歩くだけでも様々な刺激があります。
多様な人々との出会いやイベントとの偶然の遭遇など、計画していなくても新しい体験ができることが多いです。
一方、山梨県では移動に車を使うことが多く、こうした「偶然の出会い」は少なくなりがちです。
つまり、「東京を楽しみたい!」なら近くに住む方が絶対にラクなのです。
「週末だけ東京に遊びに行けばいい」と思うかもしれませんが、実際には移動の疲れや時間の制約から、思ったほど頻繁には行けなくなることも多いです。東京の魅力を存分に楽しみたいなら、やはり近くに住む方が断然有利でしょう。
仕事やアルバイトの選択肢も豊富
仕事やアルバイトの選択肢も、1都3県と山梨県では大きな差があります。特に特定の業界やキャリアを目指す人にとって、この差は非常に重要です。
都心部は求人の種類・数が段違いです。特に専門職やクリエイティブ業界、外資系企業などは、その多くが東京に集中しています。また、アルバイトや副業の選択肢も豊富で、時給や待遇も比較的良い傾向があります。山梨県内の求人は限られており、特定の業界では選択肢がほとんどないこともあります。
通える距離にしておけば、「やりたいことを諦めなくて済む」可能性もUPします。例えば、希望の職種や企業の求人が出たとき、首都圏内に住んでいれば、すぐに面接に行けます。
また、急な仕事のオファーや短期バイトなども受けやすくなります。これは将来のキャリアにとって大きな違いになる可能性があります。
一方、山梨からの通勤だと、物理的にチャンスを逃すこともあります。例えば、夜遅くまでの仕事や早朝からの仕事は、交通の問題から受けられないことがあります。また、「急に来てほしい」というオファーにも対応しにくいでしょう。
こうした細かい違いが、長期的には大きな差になる可能性があります。
上京の”ギャップ”が少なくてすむ
初めて上京する人にとって、環境の変化によるストレスやカルチャーショックは大きな問題です。この点でも、「本当の首都圏」に住む方がスムーズかもしれません。
「思ってた東京と違う…」というギャップを感じにくいのはやっぱり23区&その近郊です。
テレビやSNSで見る東京の風景や雰囲気を直接体験できるのは、やはり東京23区とその周辺地域です。山梨県は自然が豊かで生活環境は良いですが、「東京らしさ」を感じることは難しいでしょう。
また、交通、治安、買い物、交友関係など、”都会基準”の暮らしをそのまま楽しめるのも首都圏のメリットです。例えば、深夜でも安全に帰宅できる交通網や、24時間営業のコンビニやファミレスなど、都会ならではの便利さがあります。
山梨県では車がないと不便な場所も多く、生活スタイルに大きな違いがあります。
このように、迷ったら、まずは”本当の首都圏”から始めるのがおすすめです。特に初めての一人暮らしや、東京での仕事・学校が決まっている場合は、まずは1都3県内で探すことをおすすめします。
慣れてきてから、ライフスタイルに合わせて住む場所を見直すこともできます。いきなり山梨県に住むより、段階的に環境を変えていく方が、ストレスも少なく済むでしょう。
まとめ
山梨県は「首都圏」なのか「地方」なのか、その答えは一概には言えないことがわかりました。法律上は首都圏に含まれるものの、一般的な認識としては「首都圏」とは呼ばれにくいのが実情です。
東京へのアクセスの良さや、「首都圏整備法」での位置づけを考えると「首都圏」の一部と言えますが、生活様式や文化、メディアでの扱いなどを見ると「地方」と呼ぶ方が自然かもしれません。
都会生活を本格的に楽しみたい方や、東京での仕事や学校が決まっている方は、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に住むことをおすすめします。通勤・通学のしやすさやライフスタイルの選択肢の多さ、仕事の機会などを考えると、「本当の首都圏」に住むメリットは大きいからです。
特に初めての上京なら、環境の変化によるストレスを減らすためにも、まずは東京近郊から始めるのが無難でしょう。
一方で、東京の便利さも享受しながら、自然豊かな環境で暮らしたいという方には、山梨県も魅力的な選択肢になり得ます。
特にリモートワークが可能な職種であれば、山梨県東部から時々東京に通うというライフスタイルも可能です。
結局のところ、「首都圏か地方か」という二択ではなく、あなた自身のライフスタイルや価値観に合った場所を選ぶことが最も重要です。
山梨県の位置づけがあいまいだからこそ、その特性を理解した上で、自分に合った住み方を見つけることができるでしょう。