

就職と同時に上京してきました。
今は丸の内の不動産会社で営業マンをしている"マミ"です。
「都会の便利さが恋しいけど、自然のなかで暮らしたい…」
このような相反する願いを持つ方は少なくないでしょう。近年注目を集めているのが、都心へのアクセスが良好でありながら、豊かな自然環境も楽しめる「都心に近い田舎」という選択肢です。
コロナ禍でのテレワーク普及も後押しし、多くの人が従来の都市部中心の生活を見直し始めています。
満員電車に揺られる毎日から解放され、朝は鳥のさえずりで目覚め、週末は近くの川や山でリフレッシュ。そんな理想的な暮らしが、実は都心から電車で1時間程度の場所で実現できるのです。
本記事では、都心に近い田舎の定義から、そのメリット・デメリット、注目のエリアまで詳しく解説します。
家賃の安さや広い住まい、豊かな自然など、都市生活にはない魅力を知り、あなたにとっての「ちょうどいい田舎」探しのヒントにしてください。
もくじ
都心に近い田舎とは?
「都心に近い田舎」という言葉、正式な定義があるわけではありません。しかし一般的には、都市中心部へのアクセスが比較的良好で、かつ自然環境や穏やかな暮らしが実現できる地域を指します。
いわば都会と田舎の中間に位置する、両方のいいところを取り入れた暮らし方が可能なエリアです。
具体的には、東京都心から電車で1時間程度の場所が多く当てはまります。神奈川県の鎌倉市や藤沢市、埼玉県の所沢市や飯能市、千葉県の流山市や市川市などが代表例でしょう。
また、東京都内でも西多摩エリアの青梅市やあきる野市なども、都内にありながら豊かな自然が残る「都心に近い田舎」と言えます。
このような地域の特徴は、朝の通勤ラッシュや夜の喧騒から逃れられるという点です。
電車で都心にアクセスできるため、必要に応じて都会の便利さを享受しながらも、帰宅後や休日には自然に囲まれた穏やかな時間を過ごせます。
庭付き一戸建てやペット可の広めの物件も、都心部に比べて手に入れやすいのも魅力です。
都心に近い田舎で暮らすメリット
都市部での生活に少し疲れを感じている方や、もっとゆとりのある暮らしを求める方にとって、都心に近い田舎暮らしには多くのメリットがあります。
ここでは、その主な魅力について詳しく見ていきましょう。
- 自然に囲まれながら都市の利便性も享受できる
- 土地や家賃が比較的安く、広めの家に住める
- コミュニティのつながりが感じられる
自然に囲まれながら都市の利便性も享受できる
都心に近い田舎暮らしの最大の魅力は、豊かな自然環境と都市機能へのアクセスを両立できる点です。朝は小鳥のさえずりで目覚め、窓からは緑豊かな景色が広がる。
そんな環境でありながら、電車に乗れば都心のオフィスや商業施設にもアクセスできます。
週末には近くの川で釣りを楽しんだり、里山をハイキングしたりと、自然を活かしたアクティビティが身近に。都会では味わえない季節の移ろいを日々感じられるのも大きな魅力です。
また、空気の清浄さや騒音の少なさは、心身の健康にも良い影響を与えます。
都市部の喧騒から離れることで、ストレスが軽減され、質の高い睡眠が得られるという声も多く聞かれます。
テレワーク中心の働き方なら、通勤時間の節約にもつながり、仕事とプライベートのバランスが取りやすい環境と言えるでしょう。
土地や家賃が比較的安く、広めの家に住める
都心に近い田舎の大きな魅力として、住居費の安さと住環境の良さが挙げられます。都心部では手が届かないような広さの住まいが、比較的手頃な価格で手に入る可能性があります。
例えば、都心では8万円程度の家賃で借りられるのは1Kや1DKの狭い部屋がほとんどですが、郊外に目を向ければ同じ家賃で2LDKや3DKなど、ゆとりある間取りの物件が選べることも。
一戸建ての購入を考えると、その差はさらに顕著になります。
また、庭付き物件やペット可の住まいも選びやすくなるのも嬉しいポイントです。趣味のガーデニングを楽しんだり、犬や猫と一緒に暮らしたりといった、都心では実現しにくい生活スタイルが可能になります。
在宅勤務が増えた今、作業専用のスペースを確保できる広さがあるということも大きなメリットでしょう。
コミュニティのつながりがある
都心に近い田舎ならではの魅力として、人と人とのつながりの温かさが挙げられます。都会の匿名性とは対照的に、お互いに顔が見える関係性があり、近所での挨拶や声かけが自然に交わされる環境です。
引っ越してきたばかりの時に、野菜のお裾分けをしてくれたり、地域の情報を教えてくれたりと、温かな人間関係が自然と生まれやすいのも特徴です。
子育て世代にとっては、地域全体で子どもを見守る雰囲気があることも安心感につながります。
また、地域の祭りや行事も比較的活発におこなわれており、参加することで地域に溶け込むきっかけになります。
都会では得られにくい「地域の一員」としての帰属感や、困ったときに助け合える関係性は、現代社会において貴重な財産と言えるでしょう。
都心に近い田舎のデメリットと注意点
魅力的な都心に近い田舎暮らしですが、当然ながらデメリットや注意点もあります。
理想と現実のギャップに悩まないためにも、移住前にはこうした点をしっかり確認しておくことが大切です。
ここでは、主なデメリットと注意点について解説します。
- 車がないと不便なエリアもある
- 思ったより通勤がハードに感じることも
車がないと不便なエリアもある
都心に近い田舎で暮らす際の最大の注意点は、多くの地域で車が生活の必需品となる点です。
駅周辺は比較的便利でも、少し離れるとスーパーやドラッグストアなどの生活施設が点在し、徒歩では不便を感じることが多いでしょう。
特に郊外では、大型のショッピングモールや専門店が幹線道路沿いに立地していることが多く、公共交通機関だけでの移動は限界があります。
雨の日や荷物が多い時、また小さな子どもやお年寄りがいる家庭では、車がないと日常生活に支障をきたす場合も考えられます。
さらに、バスの本数が少なかったり、タクシーが捕まりにくかったりと、都心部では当たり前の移動手段が制限されることも。
車の維持費(ガソリン代、駐車場代、車検費用など)も家計の負担になる可能性があるため、生活コスト計算の際には忘れずに加えておくべきでしょう。
思ったより通勤がハードに感じることも
「都心まで電車で1時間」という距離は、地図上では近く感じるかもしれませんが、毎日の通勤となると予想以上に体力的・精神的な負担になることがあります。
特に乗り換えが多いルートや、本数が少ない路線を使う場合は注意が必要です。
例えば、乗り換え駅での移動に時間がかかったり、一本電車を逃すと次の電車まで30分待ちということも珍しくありません。
また、都心へ向かう通勤時間帯の電車は混雑していることが多く、座れない状態で1時間の通勤は想像以上に疲労を感じるものです。
また、天候不良時の影響も都心部より大きく、雪や台風で交通機関が乱れると、代替ルートが少ないため大きな影響を受けることも。
通勤の負担を過小評価せず、実際に平日の通勤時間帯に試しに乗車してみるなど、事前の確認が重要です。
都心に近い田舎のおすすめエリア
実際に都心に近い田舎暮らしを検討する際、どのエリアが自分に合っているのか判断するのは難しいものです。
ここでは、都心へのアクセスの良さと自然環境のバランスが取れた、人気の高いエリアをいくつか紹介します。
それぞれに特色があるので、ライフスタイルや優先したいポイントに合わせて検討してみてください。
- 神奈川県藤沢市・鎌倉市周辺
- 埼玉県所沢市・飯能市エリア
- 千葉県市川市・流山市エリア
- 東京都青梅市・あきる野市周辺
神奈川県藤沢市・鎌倉市周辺
神奈川県の湘南エリアは、海と山の自然に恵まれながらも都心へのアクセスが良好な、都心に近い田舎の代表格と言えるでしょう。
特に藤沢市や鎌倉市は、JR東海道線や小田急線、江ノ電などの交通網が整備されており、新宿や東京、横浜などの主要駅まで1時間程度でアクセスできます。
藤沢市の辻堂や鎌倉市の大船など、駅周辺は商業施設も充実していますが、少し離れれば豊かな自然環境が広がります。
休日には江の島や鎌倉の海岸でサーフィンを楽しんだり、山側ではハイキングができたりと、アクティブな休日を過ごせるのも魅力です。
近年はテレワーカーの移住先としても人気が高まっており、コワーキングスペースやカフェなども充実しつつあります。
海が近いことによる開放感と、歴史ある寺社仏閣の風情が共存する独特の雰囲気も、このエリアならではの魅力です。
埼玉県所沢市・飯能市エリア
埼玉県の所沢市や飯能市は、緑豊かな環境でありながら西武線で都心へのアクセスも良好なエリアです。所沢駅から池袋駅までは最短30分程度、飯能駅からでも約50分で到着します。
このエリアの特徴は、狭山丘陵をはじめとする豊かな自然環境と、比較的リーズナブルな地価や家賃です。
所沢市には航空公園や多摩湖など、休日を過ごすのに適した場所も多く、飯能市には入間川や名栗渓谷など、アウトドア愛好家にも人気のスポットがあります。
特に飯能市は「メッツァビレッジ」に代表される、自然を活かした新しい観光スポットも誕生し、注目を集めています。
森と共生する暮らしに憧れる方や、都会の喧騒から離れた静かな環境を求める方にとって、検討の価値があるエリアでしょう。
千葉県市川市・流山市エリア
千葉県の市川市や流山市は、東京駅や大手町駅まで電車1本でアクセスできる利便性と、比較的落ち着いた住環境のバランスが取れたエリアです。
市川市からは東京メトロ東西線で大手町まで約30分、流山市からはつくばエクスプレスで秋葉原まで約25分というアクセスの良さが魅力です。
駅周辺の開発も進んでおり、大型商業施設やスーパー、飲食店なども充実しています。
特に流山市は「母になるなら、流山市。」というキャッチフレーズで子育て支援に力を入れており、若い家族の移住先として人気が高まっています。
また、江戸川や利根運河沿いには遊歩道が整備されており、休日のサイクリングや散歩にも適しています。
東京湾や内陸の農地など、住む地域によって異なる自然環境を楽しめるのも特徴です。
都心へのアクセスを最優先にしながらも、程よく自然を感じられる環境を求める方におすすめです。
東京都青梅市・あきる野市周辺
東京都でありながら、豊かな自然と静けさが残る穴場として注目されているのが、青梅市やあきる野市などの西多摩エリアです。
JR青梅線を使えば新宿駅まで1時間強でアクセスできる距離にありながら、多摩川や秋川の清流、奥多摩の山々など、本格的な自然環境が広がっています。
このエリアでは、東京都内とは思えないほど星空が美しく見えたり、四季折々の自然を身近に感じられたりと、都会では味わえない体験ができます。
川原でのバーベキューやキャンプ、ハイキングなど、アウトドアレジャーの選択肢も豊富です。
一方で、青梅駅やあきる野駅周辺には生活に必要な商業施設も揃っており、日常の買い物に困ることはありません。
東京都に住みながら田舎暮らしを実現できるという点で、都市と自然の「いいとこどり」を最大限に叶えられるエリアと言えるでしょう。
自分にとっての”ちょうどいい田舎”を見つけるヒント
都心に近い田舎への移住を考える際、大切なのは自分にとって「ちょうどいい」バランスを見つけること。家族構成や働き方、ライフスタイルによって、理想の環境は大きく異なります。
ここでは、自分に合った都心に近い田舎を見つけるためのヒントをご紹介します。
まず重要なのは、自分の生活スタイルを客観的に見つめることです。フルリモート勤務なのか週に何日かは出社が必要なのかによって、許容できる通勤時間や距離は大きく変わってきます。
毎日の通勤が必要な場合は、都心へのアクセスを最優先に考えるべきでしょう。
いきなり移住に踏み切るのが不安な方は、まずは二拠点生活から始めてみるのも一つの方法です。週末だけその地域で過ごしてみることで、実際の生活感や地域の雰囲気を体験できます。
賃貸から始めて、地域に慣れてから購入を検討するというステップも賢明でしょう。
最後に忘れてはならないのは、「自然が好き=田舎暮らしが向いている」とは限らないということ。
週末だけの自然との触れ合いを楽しみたい方もいれば、日常的に静けさに囲まれた環境で過ごしたい方もいます。無理のない距離感を探ることが、長く満足して暮らすための秘訣です。
まとめ
都心に近い田舎暮らしは、都会の便利さと田舎の豊かな自然や穏やかさを両立させる、現代のライフスタイルに合った選択肢と言えるでしょう。
通勤圏内にありながら、自然に囲まれた広い住まいで暮らせる魅力は、特にテレワークが普及した今、多くの人にとって現実的な選択肢となっています。
自然環境や広い住まい、コミュニティの温かさといったメリットがある一方で、車の必要性や通勤のハードさなど、デメリットも忘れてはなりません。
理想と現実のギャップに悩まないためにも、実際に訪れて体感することが大切です。
最終的には、「都会すぎず、かといって不便すぎない」あなた自身にとってのちょうどいいバランスを見つけることが重要です。
都会での生活に少し疲れを感じている方、もっとゆとりある住環境を求めている方は、ぜひ「都心に近い田舎」という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。